みなさんご存知のように、デイノは大きく分けて、3つのタイプがある。
1)206 1967〜1969年 152台製造。 1986cc 180馬力
2)246L 1969〜1970年 357台製造 2418cc 195馬力
3)246M,E 1971〜1974 3404台製造(GTS含む) 195馬力
まず、206だが、これはあとの246とは、全然別物だ。
2リッターのエンジンは、はっきりと高回転トルク型で、下では、トルクが薄い。
大体、カムに乗るのは、4000回転くらいからだ。低いギヤーではそこから
1気に吹けあがるが、逆にそのあたりで、重たい回り方をする車は、206のよさが
ないと言ってよい。ハンドリングは車重の軽さを実感できる。反面、どっしりした感じは無い。
だから、タイトなコーナリングで、しかもスピードに乗っている場合は、とてもデリケートになる。
私が今まで乗ってきた、206のすべてが、ステアリングに対する、路面の反力が弱かった。
すなわち、斬ったときの応答性が弱い感じなのだ。
たとえば、タイトコーナーを、曲がるとき246はフロントが自然に、曲がる方向で沈んでゆく感じ
なのだが、206はフロントボデイが常にフラットで、ロールしない感じとでも言えばよいのか。
だから、ハイヒールをはいて、コーナーを走っているようで、とても繊細だ。
それと、大きな違いがあるのが、ブレーキだ。206では、ガーリング製のブレーキキヤリパーを
使っているのだが、これがこの車には容量が大き過ぎて、オーバーブレーキになってしまい、
簡単にロックしてしまうのだ。だから、コーナーの手前で、スピードのコントロールをするために
ブレーキペダルを踏むが、そのコントロールが難しい。これはこの車の大きな欠点だ。
以上いろいろと述べてきたが、やはりこの車は、デイノのプロトと、割り切って見るしかないことだ。
事実、その後のデイノは、すべてそれらの問題を、クリアーしているのだから。
この車を、日本人特有の、アルミボデイだからとか、少数生産だからとかで、買おうとするが、
その前に、これだけの違いが246とでは、あることを理解しておいて欲しい。
246Lモデル以降の、エンジンは基本的に同じと言ってよい。
しかし、すでに30年の歳月のなかで、何度オーバーホールしたのか、その仕方はどうだったのか
オーナーの運転のテクはどうか、エンジンの回し方など、さまざまな要因で、個体差がかなり
激しいものがある。10台あれば、10台違うフィールと言っても良いぐらいだ。
よくあるのが、6気筒のバランスが悪く、バサつく感じのエンジンだ。
キヤブのバランス調整、CDIの交換などで、良くはなるが、根本的にはバルブ、バルブガイド、などの
吸排気系のオーバーホールが必要だ。6000回転以上で、重くなるエンジンも同じ。
当社の、デモカーは、以上のことはもちろんのこと、ピストン、クランクのバランスどりを行っている。
その結果はまるで、シルクのように滑らかに吹き上がる。6気筒ではなく、12気筒のようだ。
つまり、デイノのエンジンはやればやるほど、良くなる、違いが判る、金のかけがいがあるというわけだ。
ミッシヨンのシンクロは、前期型と、後期型とで異なる。
206から246の前期まで、シリアルナンバーで、2000番くらいまでは、ポルシエタイプの
シンクロが付く。シフトゲートも後期型よりも、ストロークが長くなっているので、見れば判る。
このタイプのフィールは、正確にシフトリンケージと、ミッシヨンとの位置を決めてやれば、
嘘のように軽く入る。私が言う指1本で入るシフトがこれだ。
後期型のシンクロは、入れ方に少しコツがある。すなわちシンクロに逆らわないように
することだ。車速とエンジンの回転数と、入れようとするギヤーがぴったりあっていれば
こちらもスムーズに入るわけだ。それをむりに入れようとすると、車に嫌われる。
サスペンションは、206を除けばしごく従順で、扱いやすい。
基本はアンダーで、よくいう乗り手に優しいサスセッティングだ。腕に覚えのある人なら
コーナーをカウンターをあてて、ドリフトなんてのもできるだろう・
急激にブレークする、セッティングでは無い。
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