〜 ボクサークラブ : ロードインプレッション 〜

新車の時の365BBの、ロードインプレッション。

(といっても30年前のことなので記憶はあまり定かではないが。)
1975年当時、ランボルのミウラや、マセラテイのボーラなど、ミッドシップエンジンの車は、すでに見て
いたので、其れは別にどうこう無かったが、水平対抗の12気筒というのが珍しく、興味をひいた。すでに
デイトナの強暴とさえ言えるパワーを体感していたので、それ以上のものが有るかと、期待して、キーを
ひねった。ちなみに365BBは、380馬力、デイトナは352馬力と、数値の上では、まさっていたのである。
車重も50キロ軽いし。

ところがセルが、ぐうぐう回るのに、エンジンがかからない。やっとボウッとかかったか、と思うと,ストンと、
止まる。それを10回ぐらい、繰り返してやっと12発まわりだした。今でもキヤブのBBを、長くほったらか
しといて、始動しようとすると今のと同じことが必ず起こる。覚えといた方が良い。ブリッピングした印象は
やけにフライホイールが軽い感じだな、まるでポルシエのRSみたいだ(72のカレラRSのこと)これは速い
かも、と思った。

当時、デイトナに乗せたら、日本一速いと、異名をもつ(第三の東京出口のカーブで、毎回ドリフトを見せ
てくれた。) 
練馬のMさんを横に乗せ、私は会社の前の、一国をターンして、加速しようとした。
もちろんファーストギヤーで。
そうすると、まだ走行250キロの、このBBは、3000回転ぐらいで咳き込んだみたいに、ストールし、加速
してくれない。おかしいなあ、とか言いながら、さらにアクセルを、煽ると急に4000を超えて、レッドの7500
まで一揆に吹きあがった。ようするに、3000ぐらいに、トルクの谷間があって、それを超えないと、うまく
加速していかないのだ。

デイトナでは、まったくこの様な事は無いので、フェラーリはなんでこんな変な車を、作ったんだと、それが
最初の印象。後になってキャブのフロートの調整や、全体のバランスが悪いとよくそうなることが判ったの
だが始めはメカも解からず、苦労させられた。

勿論ハンドリング、ブレーキなどは、デイトナの比では無く、モダーンな内装も、新鮮で私は慣れるにつれ、
BBが好きになった。

 



やはり、BBといえば、この車だろう。
というか、365が、オリジナルで、あとの、512キヤブ、インジェクションは、それのモデファイモデルと、考え
るべきなのだ。 デイトナで、フロントエンジンに終止符を打ち、ミッドシップ、おまけに水平対抗12気筒と
いう、いままでフェラーリが、経験した事のなかった、全く新しい、設計思想で、考案されたのが、この365
BBというわけだ。

だから、デイトナと、365BBの間で、大きなラインが引かれたと言っても、過言ではない。
それは、勿論、空力(エアロダイナミクス)や、居住性、メーターまで、(ワイヤー式から、電気式のスピード
メーターなど)ほとんど、といってよいほど、モダ―ンになっている。
それでも、エンジンのフィ―ルが、デイトナに近い、もっともスポーツエンジンらしいのが、365なのだ。

ただし、私は、シーサイドのころから、365に、20台ぐらい乗ってきたが、この車は、新車のときからの、
ランニングイン、またその後の、オーナーの扱い方によって、かなり、エンジンの回り方に、個体差が、でる
ものだ、と、思っている。

3000回転くらいで、一瞬ストールするものや、全体的に重い回り方をするものなど、全てが、365らしい
良いエンジンではない。たしかに、考えるまでも無く、385馬力のエンジンをフルに使いきって、この車を、
走らせることができる、ドライバーは、そうそうは、いないだろうから。どうしても、箱入り娘のような、おとな
しい?エンジンンに、なってしまうのだ。

だから、当社で、365を、仕入れて客に渡すまでの、ランニングインの間は、私はできるだけ、エンジンを
回すように、している。一速、2速で、7000回転まで、きっちりと、回して。そうすると、だんだん、エンジンが、
軽くなってくるものだ。また、クラッチが重いといわれるが、これは油圧式ではないのだから、仕方ない。
これぐらいの、重さで文句をいうなら、365に乗る資格はない。

512キャブとの一番の違いは 車重だ。実測でも150キロくらい違う。ハンドリングにも軽さが伝わるよ。