〜 ボクサークラブ : 365BB 〜

2010年6月のHPより (その1)

私の好きな写真  365GT4/BB
港に着いたばかりのBB 快晴の空にレッドカラーが良く映える。



後は横浜ベイブリッジだ。



リヤーの9Jは やはり365にはあわないね。
せっかくのスリムボディが足でマッチョみたいになってる。



この下の車が記念すべき365BBの 日本上陸第1号車だ。
勿論、シーサイドモーターが輸入した。
この赤と、ブルーの2台が同時に入ってきた。

この車と私はかなり縁が深く、
最初のオーナーである、
今は亡き、東京、葛飾区にお住まいだった 市川 人世さん。

この方は有名な浮谷さんとも親友で当時のスポーツカーのオーナーの中では
並外れた人だった。

元々はポルシェ党で、356から始まり、911S 73カレラ、74のカレラRS など
名だたる車を所有していた。
そこに、フェラーリ初めてのミッドシップ、おまけにポルシエと同じく
水平対抗エンジン、しかも12気筒が世の中に出ると聞いたら
市川さんの車好きの虫が騒いでもおかしくない。

市川さんは東京の葛飾、金町にお住まいだったが、(例の寅さんの帝釈天の近く)
私の実家もその近くにあったので、よくガレージに伺わせていただいた。

天井からはラジコンヘリの大きいのが何機もぶら下がり
面白い車では メッサーシュミット(3輪で動くミニカーみたいなの)も
持っていらっしゃった。

浮谷さんと言えば、千葉県の市川の資産家で
息子は日本のレース界の黎明期をリードした
浮谷 東次郎さんだ。

勿論オヤジさんも車が大好きで
当時、シーサイドから 黄色の マセラーティ ボーラを買われて
何度かお姿を拝見した。

そのほかには ランボルギーニの400GT これもミツワから。
そしてランボルの ウラッコのブルー
これはシーサイドから。
ミウラも市川さんと共同所有で持っていらした。

市川さんには
生前親しくしていただいて
、趣味のラジコンヘリにもよく見に行かせて頂いた。
この後、ポルシェ 959の新車もミツワから
お買いになり その車検を私に任せて頂いた。

当時、959は ミツワでは6台を入れたが
ポルシェとの規約でナンバーをつけて公道を走ってはいけないとの事だった。

ただ、買った側からすれば乗れない車は意味が無い。
だから、外部の私に頼んで車検を内緒で取ったのだ。
その数、3台。つまりミツワで入れた6台の半分を私が裏ルートでナンバーを付けた。
なんでもやるよね、私は。

ちなみに私はこの959も 5台販売した事があるよ。
後日、記事にする。

その後、この365BBが売りに出されると、たまたま私のお客が次に購入した。
というわけで、私はこの365BBを日本の誰よりも新車時の事を
記憶に残している訳だ。

ミラーがビタローニの丸いのが付いている。
現在 当社の246GTSについているのと同じ物だ。年代が同じだからね。




この車は既に365BBの生産の30台くらいは経ったモデルだった。
ただ、まだダッシュはバックスキンだ。そう初期はこれなんだよ。
ミッションは既に ポルシェシンクロから 次の世代にシフトされている。



シートはファブリックではないが レザーのハンモック、
リクライニングはしないタイプ。これが前期だ。
この後、ダイヤル式の調節が付いた。



365BBが来たのが1976年。
1978年頃の若かりし私。(28歳か)
後ろは当時、盛んに入れていた 308GTBのファイバーモデル。
当然新車。大体25台くらい入れたかね。
その大半を私が販売した。
なにしろ、シーサイドのトップセールスだったから。
表情のふてぶてしさは 当時からだね。



全ての車が エンジンで動くのは当たり前の話だが
この時代、1970年の初頭、
12気筒エンジンというのは、正にスーパーなエンジであった。
いまでこそ、当たり前のように12気筒、あるいは16気筒なんて車が溢れているが
この頃の12気筒、特にフェラーリエンジは正に宝石のようなものだった。
スポーツカーエンスージャストにとっては。



その中でも、このBBに搭載された水平対抗 12気筒は今までのフェラーリの常識を
一から覆す、画期的なエンジンといって良い。



エンジンのオーバーホールにしても、部品点数が多く
注意を怠ってはいけない。





 赤についで良く見るのがこの黄色。
BBには 黄色も良く似合う。

現在、当社に来れば フルレストアの365BBを見せることが出来る。





下の写真は珍しい LP400とのツーショット
このオレンジのLP400は 現在ランアンドランの関口さんが所有する車。
この時は(1980年の後半) まだ彼の前のオーナの時。
この車は新車から今の関口さんまで全て私の顧客が所有した。
最初にシーサイドで着けた ビタローニのトロネードという四角い しかし見やすいミラーを着けていた。
オマケに見えるか? ホイールもBBSのワイドホイールを履かせていた。
LP500Rでも使っていたもの。



これが私の一番好きな 365BBのショット。
フロントのボートノーズがよく判る。
後の9J ホイールはノンスタンダード。



何故、私がBBを評価するか、また好きかの理由。

1、人間誰しも大きなチャレンジをしなければならないときがある。
フェラーリの技術陣、またセールス担当にとって、まさにこの車のときがその時だった。
その意気込みを評価したい。

2、ピニンファリーナの美しく、かつもモダーンなデザイン。 特に365のスリークなフロントのスタイル。
3、コンパクトかつシンプルなメーター周りのデザイン。(メーター本体も含む)
4、サポートに優れ、かつデザインも良いシート
5、V12とは異なる、独特な水平対抗のエンジンの廻り方。

などなど、きりが無いほどだ。

今まで乗った最高の状態の 365BB。

その車はドイツから当社が輸入して東京のお客に販売したが、
1年くらい当社で預かっていた。理由は車庫が無いから!!!

モデルは前期型、ハンモックの麻シート、マフラーはアンサのスポーツマグラーだった。
あるとき、横浜から御殿場まで走る機会があった。
ルートは東名高速を横浜インターから 御殿場まで。

以前からこの車はエンジンが良いとは思っていたが、高速に乗ってアクセル全開にすると
1速は勿論、2速、3速と完全にレッドまで瞬時に吹き上がり
7000回転までなんのストレスも感じない。
12気筒ではなく、4気筒1600ccのハイチューンエンジンを全開にするような感じといえば判るか。
3速では軽く200キロをオーバーだ。

トルクの出方はディトナとは違い、
水平対抗特有のモーターが廻るようなバランスの良さ。
とにかく3速、3000回転でもアクセルにエンジンが絶妙に反応し
加減速が自在と言う感じであった。

2番目に感動したのはその高速安定性。
130〜150キロくらいを加速したり、減速したりするのだが
4輪の足が道路に吸い付くように感じ、
なんの不安も感じ無い。
勿論、ハンドリングも全然ブレも無く、ほんの少しの操舵で綺麗にコーナーを廻っていく。

ためしに150キロくらいで直線で何秒手放しで直進するか 計ってみたが
10秒以上走ってもなにも変わらなかった。

次に感心したのがブレーキだ。
なんのみてくれは変哲の無い、ブレーキキャリパー、ホイールなのだが
一旦、高速からブレーキに足を乗せると
まるで後から太いゴムチューブで引っ張られたように減速する。
それも瞬時にだ。

面白いのでそのとき何度も120−130キロくらいから 
急ブレーキを踏んでみたが、まるで後から強い力で鷲掴みされるような効き方だった。

つまりこの365BBは、大排気量のエンジンを持ちながら
まるでライトウエイトのようなハンドリング、ブレーキをあわせ持つと言う
普通では出来ない、あるいは非常に難しいバランスを
絶妙に保っていたわけだ。

私は今まで365BBに少なくても30台以上は乗って、走らせてきたが
他のBBも資質の部分は同じ、
但し、このときのような完璧なランニングコンデションは少ない。

しかし、1台、1台がその資質を持っていることも事実だ。
今後、1台でも’完璧な’ BBを増やしていけいるかが私の大きな課題だ。



先程何度もマイナーチェンジを受けたと述べたが 内装も例外ではない。
一番初期の生産の365BBは ダッシュがディノと同じ素材のファブリック。
その後、革張りに変更された。

シートも写真のが初期型で、当初のコンセプトのハンモックタイプが着く。
その素材は非常に荒い目の、よく米などを入れるときに使う 麻のずだ袋のような素材だった。
しかし、割と丈夫なもので、キャステルで2回くらい このシートをばらして
麻のシート部分を洗濯屋で洗ってもらって組んだ事がある。
すわり心地は後期の革張りよりもソフトで凄くよい。
ヘッドレストが無いのに注意。