〜 マセラティクラブ : カムシン (KHAMSIN) 〜


全長・全幅・全高=4400・1804・1140
V型8気筒 4930cc
320Hp/5500rpm   49kg/4000rpm
カタログ最高速度  275Km

この車は、1975年ごろ日本に入ってきた。
最初見たときは、シャープなデザインのかっこいい車だなというのが印象的だった。
それで運転してみると、エンジンはギブリ譲りのV型 8気筒だから変わりは無いが、ハイドロの
高圧油圧システムを使った、シトロエン譲りの、奇怪な?ものが付いていたのだ。

例えば、ブレーキ(ボーラもメラクも同じ)、あの踏んだらペコペコと油圧が戻るのが感じる最悪
ブレーキ、ヘッドライトの昇降もよせばいいのに、油圧。
極めつけは、シトロエン SMと同じ、センタリングハンドルが付いていたのだ。

今時そんなものはないから、説明すると、物凄くクイックな(ロックツーロック1回転半くらい)
ステアリングを、斬った状態で離すと、止まった状態でもセンターに強制的に戻るのだ。
始めは面白い車だなと、喜んでいたが、そのうち欠点が見え始めた。当然そのシステムを動かす
為に、高圧のポンプを使ってるわけだが、あまりに負担が大きいために、油圧漏れやら、ポンプ
自体が壊れてきたのだ。

ただ、その頃のシーサイドモーターにとっては、この車は、マセラテイの最高級車種で、値段も
相当高かったから、なんとかごまかしながらも ?売っていくほか無かったわけだ。
私自身、10台以上、カムシンを売ったと思う。
殆どがメタリックカラーで、シルバー、ブルーメタ、マルーンメタ、など。

なにしろ高速で、ちょっとでもハンドルを切りすぎると、車が過敏に反応し、ローリングしてしまう
ほどデリケートな車だった。ただ町乗りでは、慣れれば運転は意外と楽だった。
残念な事に、その油圧システムは、新車から10年ももたず壊れてゆき、修理にはかなり高額な
金が必要だった。おまけに直しても、同じところが壊れるケースが多く、修理屋がいやがり、今で
はほとんど町で見かけなくなっている。

デザインとエンジンは良かったのに、時代に恵まれず、変なシステムをつけたばかりに、今では
動けなくなっている車が大半だろう。悲運な車だ。
たまに、300万台(可哀想な金額だ)で売りに出ているのを見るが、素人は絶対手を出してはい
けない。倍以上の金がかかる。オートマもあるが、ぶっ壊れる。