〜 社長 鞍とは‥ : 社長の意見 〜

外車屋の経営

私がこの業界に入った頃、1974年、外車屋と言えば、環状線の道路に沿って、店を構える。
すなわち車を展示販売する。そういうスタイルだった。

例えば東京の環状線では セントラル、ユニオン、チェッカーモーター 老舗の渋谷自動車など。
目黒通りでは オートロマン(その前はフェリックスという名前) アートガレージ、伊太利亜など。
第三京浜出たところの ITC インターナショナル通商。

残念ながら伊太利亜を除いて他は全部無い。勿論私がいた シーサイドモーターもしかり。
あんなに華々しく見えたのに何故? 皆さんそう思うだろう。

そこにはいわゆる構造的な問題がある。
即ち、車屋の経営というのは、非常に効率の悪いビジネスなのだ。まず、商品自体の容積が大きい。
即ち場所を取る。在庫を20台も持てば、相当大きい展示場ないし 駐車場が必要となる。

次に商品単価が高い。一応ピンきりだが 200万以上はするのが常だ。ということは、資金が必要になる。
自己資金があればよいがそうでなければ銀行から多額の借金をする事になる。

先程言った展示場の面積、ないしそのデコレーション。
カッコをつけてショールームを持てばもっと経費がかかる。

次に下取りの問題。
大概 何かしらの下取り車があるのが昔は多かった。今みたいに買い取り専門店など無い時代。
だから上手く仕入れればそれを再販して2度儲けることも可能だったのだが、それが売れるまでは販売代金が全額
戻ってこない。
勿論場所も取る。

当時も今もそうだが、売れる車の種類はだいたい決まっている。
ということは、何処の店も同じような車を仕入れて販売する。
車に個性を持たすのが難しいから値段で即ち安売りで勝負しようとする。
そんなことの積み重ねで古い体質の車屋は順番に消えていった。

現在。
ゲンロクとか見ると派手な広告が目に付く。モデナ、430、599、 あるいはガヤルド、ムルシェなど。
ところが今はインターネットの時代。
昔みたいに車屋めぐりなどしなくても家にいてパソコンで日本中の車屋の情報が見れる昔と共通点は、何処の店も
おんなじような在庫だと言う事。

そうなれば買い手は調べて条件の良いほうに行くに決まっている。結果、車屋同士の値引きが始まる。
今は430(2500万もする)を販売して幾ら儲かると思う?大体 100万だそうだ。

1000万以上かかる経費の店で 1台100万では 10台以上売らなければ赤字だ。でも最近は特に難しい。
それが今も昔も車屋業界を取り巻く環境なのだ。

さて、当社キャステルオート。
幸い? 銀行の借金はゼロだ。地元の金融公庫などの融資でさえ無い。
別に拒んできたわけではないが、今までスモールビジネスを心がけてきた結果だ。

現在、ディノ246GTS (2500万)
246GT (2000万)
365GT 2+2 (1500万)
365GTC/4 (1500万)
などの在庫があるが全て、自己資金、(カッコ内は販売予想金額
その他、今までの売りあげのレストア中のディノなどの未集金 約5000万、これが当社の全財産だ。

今時 情報開示が当たり前。
更にこんだけ企業の情報悪化が言われている時代。
これからの買いに来るお客に対して、信用を得る、あるいは信頼していただくそのためには当社は今までどおり、万全の体制
を保ちたい。

そのために、当社を訪ねていただく全ての人に 社長の私が相手をする。
この道34年 人曰く 歩くスーパーカー ?あるいは、スーパーカーの生き字引?その日本唯一の男が相手をするのだから、
文句は無いだろう。

話をするだけではなく、できる限り車も動かす。
車は動いてなんぼ、これが私の信念だからだ。

遠慮は無用、どしどし訪ねてきてくれ。