〜 板金、塗装 〜

今は板金屋という言葉が死語になりつつある。
つまり、板を叩いてモノを作るという作業は殆ど無くなっているからだ。
ぶつけたら、パネルごと剥がして交換。これが当たり前。
昔のように裏から叩いてなんて作業は必要が無い。

ところが40年前のディノとか、パネルなんかある訳がない。
いつも言うようにフェラーリと言う会社は売った車の先のことなんか考えていない。
だからスペアパーツの補給、ましてやボディのパネルなんかあるわけが無い。

ところがこの頃のパネルはよく錆びる。多分使っていた鉄の材料が悪い為。
だからこの40年の間、保管が悪いと直ぐに腐る。

でもこのキャステルで売る場合、古いから腐っていますでは済まない。
当たり前だよね。名前で売っているんだから。

だから手抜きは一切せず塗装には金をかける。だから高くなる。
これは仕方が無い。何しろディノは顔が命?
つまりいかに綺麗なボディを纏えるかで価値が決まるから。

当然、私の要求するハードルは高い。日本一、いや世界一と断言してもよい。
何しろ私は世界中でディノを見てきてるから。
その期待に応えてくれる職人、その一人を今回紹介しよう。

名前は竹内さん。私と同じ歳。
彼の板金の腕はおそらく東京で一番だろう。
不可能は無いと断言する彼の腕がキャステルを支えている。



これくらいは序の口。



いかにパテでごまかさずに板を作るかで仕上がりが決まる。
今まで多数のディノの塗装を剥がしたのを見てきたが、大半が手抜き。
ひどいのなんてリベットで板と板をくっつけている。その上からパテをてんこ盛り。
そんなのでシャープなラインが出るわけが無い。



塗装は下地の板金がきっちりと出来ていれば難しい作業ではない。
特に全塗装の場合、色あわせも必要ないし。ラインも既に出ている。
やはり見えない基本の部分が大事ということ。



完璧な板金、完璧な塗装、完璧なエンジン。センスあふれる内装。
これが私の求める究極のディノだ。
そのレストアのレベルは間違いなく世界でトップ。
と言うことは、皆さんは日本にいて世界最高のデイノが買えるという訳。
これって凄くないか?